活動報告・総括

実行委員会設立の経過

2012国際協同組合年全国実行委員会の設立

2009年12月、国連が、2012年を「国際協同組合年(International Year of Co-operatives:以下 IYCと表記)」とする決議を行ったことを受け、日本協同組合連絡協議会(Japan Joint Committee of Co-operatives:以下JJCと表記)茂木守委員長は、国際協同組合年を歓迎し、日本政府ならびに関係機関、国際協同組合同盟(The International Co-operative Alliance:以下ICAと表記)と協力し、協同組合の価値、役割について社会にアピールする取組みを展開する旨の談話を発表した。

また、JJCは、国際協同組合年に向け、主体的・積極的に取り組む必要があるとの認識で一致し、JJCに加盟していない協同組合組織にも幅広く呼びかけ、2010年4月に「国際協同組合年国内実行委員会第一回設立準備会」を開催し、取組みの基本的考え方、国内実行委員会の設立にむけた体制づくりについて協議した。

その後、第二回、第三回設立委員会を開催し、準備会参加団体代表、知識人が呼びかけ人となり、「2012国際協同組合年全国実行委員会」の趣旨に賛同する方々への実行委員への就任依頼をすすめ、2010年8月、2012国際協同組合年全国実行委員会の設立総会を開催した。

2012国際協同組合年全国実行委員会の構成

2012国際協同組合年全国実行委員会は、その規約で、その目的を「国際協同組合年にあたり、協同組合の価値や協同組合が現代社会で果たしている役割等について広く国民に認知されるよう取組みを行うとともに、協同組合運動を促進させる取組みを行うこと」とし、事業として、行事の開催、広報などを掲げた。

また、事業の企画・推進のため、各協同組合全国機関の担当常勤役員で構成する幹事会を設けた。同幹事会参加団体は21団体におよび、これまでJJC(加盟団体は14)に加盟していなかった団体の参加を得ており、協同組合間連携の輪を広げる契機となった。さらに、各協同組合全国機関の担当者が事務局となり、個別の業務を分担して担うこととなった。

2012国際協同組合年全国実行委員会は、設立以降、年度毎(2010年8月~2011年3月、2011年4月~2012年3月、2012年4月~2013年3月)に行動計画を策定し、活動してきた。

活動の基本的目標

2012国際協同組合年全国実行委員会規約、平成23年度、平成24年度行動計画に見られる通り、社会・経済に対する協同組合の貢献についての認知度の向上を重点に、「2012年を『国際協同組合年(IYC)』とする国連総会宣言」を踏まえた基本的目標の実現に向け、活動した。

2012国際協同組合年全国実行委員会規約と平成23・24年度行動計画の目標等

2012国際協同組合年全国実行委員会規約(抜粋)
(目的)  
第2条 この会は、2012年の国際協同組合年にあたり、協同組合の価値や協同組合が現代社会で果たしている役割等について広く国民に認知されるように取り組みを行うとともに、協同組合運動を促進させる取り組みを行うことを目的とする。
平成23年度2012国際協同組合年全国実行委員会行動計画(抜粋)
Ⅰ 基本的な考え方
 2012年を「国際協同組合年(IYC)」とする国連総会宣言並びに2012国際協同組合年全国実行委員会の設立趣旨に鑑み、「協同組合の推進、社会・政府による理解・認知の促進」を目的とした各種事業を全国レベル、都道府県レベル、協同組合レベルで展開するとともに、「協同組合への理解・認知促進」のため、IYCに関する情報を各レベルで積極的に発信する。
 協同組合の東日本大震災復旧・復興支援は、協同組合の社会的意義が顕在化した取組みであり、全国実行委員会代表副代表会議において確認された通り、協同組合間の連携の枠組みを構築し、実施するとともに、「協同組合への理解・認知促進」のため、実施状況に関する情報を積極的に発信する。
 2011年秋に開催が予定されている国連のIYC関連会議並びに国際協同組合同盟(ICA)全体総会などにおいて、わが国の協同組合に関する情報(東日本大震災対応・復興支援を含む)を内外に積極的に発信する。
平成24年度2012国際協同組合年全国実行委員会行動計画(抜粋)
Ⅰ 基本的な考え方
  1 活動の基本的目標
   2012年を「国際協同組合年(IYC)」とする国連総会宣言、並びに、2012国際協同組合年全国実行委員会の設立趣旨、東日本大震災からの復旧・復興がいまだとげられていない現状に鑑み、次に掲げる基本的目標の実現に向け、活動する。
 
  1. 社会・経済に対する協同組合の貢献についての認知度の向上
  2. 協同組合の発展
  3. 協同組合政策・制度の整備
  4. 東日本大震災からの復旧・復興
  2 重視する目標と活動の重点
   このうち、IYC全国実行委員会に参加する協同組合が一致して活動できるテーマである、「社会・経済に対する協同組合の貢献についての認知度の向上」を最も重視して活動する。
 このため、協同組合がわが国の現代社会において果たしている役割につき、情報を発信する。
 東日本大震災からの復旧・復興につき、協同組合が果たしている役割は協同組合の使命・役割が顕在化した例であり、これに係る情報発信を重視する。
  3 協同組合間協同による新たな活動への挑戦
   IYCを契機に協同組合間の協同強化を模索する。

実践した内容

協同組合リーフレットとパブリシティ用資料の製作

協同組合リーフレットの製作

主に有識者、マスコミ等を念頭に、IYCの意義・背景、並びに、わが国の協同組合の現状と社会に対する貢献につき整理した資料「2012国際協同組合年ってなに?~日本の協同組合のいま~(以下、『協同組合リーフレット』)」を約20万部作成・発行するとともに、HPに掲載した。

この協同組合リーフレットでは、協同組合を「組合員のための共助・共益組織」としつつ、「真摯な共助は公益的な役割発揮につながり、地域に貢献しうる」と自己規定した。

パブリシティ用資料の製作

わが国の協同組合の社会に対する貢献につき、移動店舗や地域密着型医療・福祉活動などテーマ別に紹介する資料を作成し、協同組合リーフレットとともに、これらを活かしてマスコミに働きかけ、IYCや協同組合に関する掲載・報道につながるよう努めた。この結果、2012年1月~12月末までの間に、3つの全国紙と39の地方紙に、社説も含め、合計102件の記事掲載があったほか、雑誌等に掲載された。また、平成24年11月28日の協同組合フォーラムは、NHKの全国ニュースでも取り上げられた。

協同組合リーフレットとそのポイント

・協同組合を「組合員のための共助・共益組織」としつつ、「真摯な共助は公益的な役割発揮につながり、地域に貢献しうる」と自己規定

・わが国の協同組合が、国際協同組合年を契機に、いま一度自らの使命・役割を再認識し、協同組合への参加の広がりの追求や公共性の増進に努めていくことを確認。

リーフレットのダウンロードはこちら(8.6MB)

これまでに発行したニュースレター

Vol.1 地域の食とくらしを支える協同組合の移動店舗

Vol.2 地域密着型の医療福祉事業を展開する協同組合

Vol.3 自らの手で地域に役立つ仕事を創る協同組合

Vol.4 住みよい地域づくりのために子育て支援に取り組む協同組合

Vol.5 「食」を通して子どもの生きる力を育む協同組合

ニュースレターのダウンロードはこちら


記念イベントの開催

 以下の通りイベントを開催した。

  1. 2011年7月14日:国際協同組合デー記念中央集会(JJCと共催)
  2. 2012年1月13日:IYCキックオフイベント
  3. 2012年7月18日:国際協同組合デー記念中央集会(JJCと共催)
  4. 2012年11月17日、18日:協同組合フェスティバル
  5. 2012年11月28日:ICA-AP総会に際しての協同組合フォーラム(ICA-AP(注1)、JJCと共催)

(注1)
 ICA-APは、ICAに加盟する協同組合組織のうち、アジア、太平洋地区に属する組織で構成される。

協同組合地域貢献コンテスト

協同組合の存在意義や社会的役割に関する理解を深めるために、「協同組合地域貢献コンテスト」を実施し、2012年7月18日の国際協同組合デー記念中央集会で表彰した。

応募総数は122団体、延べ215件となり、震災復興支援、地域活性化支援(一次産業や中小企業の活性化、商品開発、仕事おこしなど)、子育て支援、食育・食農教育、農業体験、買い物弱者対策、無料・低額診療、子供見守り、高齢者・障がい者支援、地域の居場所づくり、ボランティア活動、環境保全、外国人支援、市民活動支援など多岐に渡った。

審査員には、(1)地域コミュニティの発展・再生に資する活動で、取り組みの対象や効果が、組合員はもとより、広く地域住民・地域社会におよぶ活動、(2)取り組みの目的・成果がより具体的である活動、(3)継続的に取り組まれている活動、の3点を重視のうえ、審査いただき、表の通りの表彰結果となった。

各地域で協同組合が実践している多彩な地域貢献を相互に認識し、自らの役割、協同組合が目指す社会のあり方について、改めて考える機会となった。また、県域で表彰式が行われ、地方紙に掲載されるなど、情報発信の機会となった。

記念イベントの概要

2011年7月14日:国際協同組合デー記念中央集会

「震災復興のために協同組合は何ができるか」をテーマに、被災地からの報告、各協同組合組織による復興支援活動の報告を基にしたパネルディスカッションなどを通じて、「地域復興のためのライフライン」としての協同組合の役割・機能の理解促進が図られた。

2012年1月13日:IYCキックオフイベント

協同組合関係者やIYC実行委員の方々をはじめ政府やメディア関係者の方々など、約350人の参加のもと、 IYC全国実行委員会代表の内橋克人氏の講演や、各県実行委員会の取り組み報告、「これからも協同組合がよりよい社会を築けるか」と題したパネルディスカッションなどを行った。

2012年7月18日:国際協同組合デー記念中央集会

約1,000名の協同組合関係者参加のもと、IYC全国実行委員会代表の内橋克人氏の講演や、協同組合地域貢献コンテストの表彰、小林正弥氏(千葉大学大学院教授)による協同組合白熱教室(協同組合の社会的役割に関する集団的討論会)を行った。

2012年11月17日、18日:協同組合フェスティバル

多彩な活動を展開している協同組合が一堂に得意分野を持ちよって、協同組合の活動を紹介するなど様々なイベントを実施。各協同組合のブース出展による試食・販売や、尾木直樹さん(尾木ママ)や生協の白石さんのトークショーなどを行い、約3,000名の消費者の方々に参加者いただいた。

2012年11月28日:ICA-AP総会に際しての協同組合フォーラム

海外・国内の協同組合関係者500名参加のもと、日本および海外における災害発生時の取り組み報告や、パネルディスカッション、IYC全国実行委員会代表の内橋克人氏、国連人道問題調整事務所神戸事務所長 渡部正樹氏の基調講演などが行われた。

協同組合地域貢献コンテストの審査結果ならびに審査員

≪最優秀賞(4団体)≫

  • 野付漁業協同組合(北海道):植樹を通じた環境保全活動と生協との産直交流
  • ワーカーズ・コレクティブ・ネットワーク・ジャパン(東京都他):ワーカーズ・コレクティブが各地で展開している実践
  • 佐賀県協同組合女性連絡会(佐賀県):佐賀県協同組合女性連絡会の20年間継続してきた環境測定調査活動
  • 生活協同組合コープおきなわ(沖縄県):地域の困りごとを地産地消で解決する「地域おこしプロジェクト」

≪優秀賞(4団体)≫

  • 京都生活協同組合(京都府):「援農隊の取り組み」「さくらこめたまごの取り組み」
  • あづみ農業協同組合(長野県):くらしの助け合いネットワーク"あんしん"と"生き活き塾"のとりくみ
  • 福井県民生活協同組合(福井県):地域のつながりを大切に 移動店舗(ハーツ便)の取り組み
  • 近畿労働金庫(大阪府):「グットマネーバンク」に向けた近畿ろうきんの共生事業(共生プロジェクト)

≪「協同組合地域貢献コンテスト」審査員≫

  • 北川 太一 氏(福井県立大学教授)
  • 後藤 千恵 氏(NHK解説委員)
  • 生源寺 眞一 氏(名古屋大学教授、IYC全国実行委員会副代表)
  • 田中 ひとみ 氏(ICA-AP女性委員会委員長)
11月28日 第7回国際協同組合同盟アジア太平洋協同組合フォーラム決議

我々は以下を行うものとする。

国際協同組合同盟(ICA)アジア太平洋地域の協同組合運動を代表し、本日2012年11月28日に日本の神戸市で開催された第7回国際協同組合同盟アジア太平洋協同組合フォーラムに出席した組合員は、

  • 過去6回の国際協同組合同盟アジア太平洋協同組合フォーラムにおいて、有意義な意見交換と、協同組合および各国政府が協同組合にとって有用な環境を構築・促進するために行うべき事柄を述べた提言を通じて、アジア太平洋地域における協同組合の進展に大きく貢献してきたことを確認し、
  • 過去10年間、とりわけここ2、3年間に、アジア太平洋地域の各地が自然災害に襲われ、中には、取り返しのつかない人命と資産の損失を被った加盟国もあり、多数の協同組合が破壊され、組合員の多くが命を落とし、一部が身体に障害を負い、家や職を失ったことを認識した。災害は、自然に起こるものだけでなく、人間によっても引き起こされ、今回日本に大きな影響をもたらした原子力発電所の放射能漏出のような人災は、永続かつより危険な状況を招く。
  • 2010年10月26日に韓国の仁川で開催された第4回アジア防災閣僚級会議(AMCDRR)で発表された『第一回アジア太平洋災害報告書』によると、アジア太平洋地域はアフリカの4倍、ヨーロッパまたは北米の25倍も自然災害発生率が高いとされており、極めて自然災害の被害を受けやすいにもかかわらず、準備が不足していることに留意し、
  • すべての災害時に、協同組合はあらゆる手を尽くして人々の苦しみを軽減するべく努めたことや、ICAとその加盟国が資源の供給および結束の提供において模範的な役割を果たしたことに加え、協同組合の取り組みに各国政府およびその他機関がパートナーとして連携することで、取り組みが補強されば、協同組合は災害の軽減と管理に不可欠な役割を果たせることを認識した上で、
  • 人々による既存の広大なネットワークにより、様々な災害時の場面において、協同組合の介入が公共機関より迅速であったことは、人々の日常生活における相互協同の意義を再構築した。ゆえに、
  • 協同組合、各国政府、国連組織、その他の利害関係者に対し、協同組合が各国において、その国の他のあらゆる民間組織よりも個人およびその国のコミュニティを代表していることをすべからく認識し、自然災害時の緊急救援、復旧・復興活動の策定・実施に向けた各国の資源の結集を図るため、アジア太平洋諸国における協同組合の促進を呼びかけるとともに、協同組合が災害復興における地域経済回復の最も重要なパートナーであることを認識すべきであり、
  • 各国の協同組合に対し、人々の貢献に最大限の注意を払うとともに、全国および地方の自治体と草の根組織、市民運動、市民社会のネットワークの構築を通じた人的資源の連帯による潜在的能力の再生・強化を求め、
  • 各協同組合、各国政府、国連機関に連携を呼びかけ、ICA・国連・各国政府・各協同組合の運動に関連した情報交換、資源の提供、合同演習を行い、各協同組合内に自然災害用資金、災害対応マニュアル、職員研修などを備えた災害管理部門を設立することを求め、
  • 各加盟国に災害時における協同組合の役割に対する意識を高めると共に、各国政府および国連が協同組合を「災害管理のパートナー」として承認し、協同組合の災害管理能力育成に向けた国連・ICAパートナーシップの構築を呼びかける。

以上

HP等を通じた情報発信、ロゴ、スローガンの露出、資材の製作

ホームページ(HP)を開設し、2012国際協同組合年全国実行委員会および都道府県実行委員会や各協同組合のIYC関連活動、諸外国での取り組み、協同組合の社会貢献、認定・後援事業、イベント情報、等を掲載した(1か月の平均アクセス数 約8,300)とともに、メールマガジンを発行した(これまでにメールマガジン登録者約320人へ計12回発行)。

また、IYCのプレート(約1万枚)、名刺用IYCロゴシール(約3万枚)、ポスター(約1万3千枚)、イベント展示用パネル、その他ノベルティグッズを作成(エコバッグ:約1万1千枚、クリアファイル:2万枚、ボールペン:2万3千本、ポケットティッシュ:2万8千個)し、普及した。

幹事団体に対しては、諸印刷物、CM等へのロゴ、スローガンの掲載等を求め、複数の幹事団体がCMで「2012年が国連の定めた国際協同組合年」とのキャプションを放映した。

スローガン等の露出だけでは、協同組合に対する理解拡大につながらないが、HPへのアクセス契機になれば有意な情報発信につながるとの意図で露出に努めた。

2012国際協同組合年公式ホームページ
2012国際協同組合年ノベルティチラシ

多彩な認定・後援事業

2012国際協同組合年全国実行委員会は、イベント・出版物等に対する認定・後援要綱を設け、申請に基づき認定・後援を決定した。認定・後援事業等では、IYCロゴ等の使用が可能となるが、12月31日までに87件を認定、48件を後援し、情報発信に寄与していただいた。

2012国際協同組合年全国実行委員会認定・後援事業一覧はこちら(PDF)

大学への講座開設の働きかけ等

大学生が協同組合を学ぶ機会を増やすために、協同組合からのゲストスピーカー派遣などを通じた講座の充実を働きかけてきた。この結果、駒澤大学などで協同組合論講座が開設されることとなった。こうした運動は県域レベルでも行われており、今後もその拡充が望まれる。

また、かつての学習指導要領(昭和30年代、40年代)では、小学校3年生の社会科等において、協同組合を取り上げることとされていたが、今日の学習指導要領には協同組合が登場しない。このため、学校教育における協同組合や非営利組織に関する教育の充実の必要性について検討すべく、JC総研に対し、研究を委託した。JC総研の報告を踏まえ、本委員会の後継組織において、今後、政府に対し、学習指導要領の見直し等につき働きかけることを想定している。

2012年度に開かれた2012国際協同組合年全国実行委員会協力講座
  • 埼玉県立大学 社会福祉学科
     「協同組合論」(4月~7月)
  • 駒澤大学 経済学部
     「現代産業事情Ⅱ」(4月~7月)
     「協同組合論」(4月~7月 15回)
  • 神奈川大学 法学部
     「消費生活行政特論」(4月~7月 15回)
     「政治学特講 Ⅱ 現代社会と協同組合」(4月~7月 15回)
  • 関西大学 大学院商学研究科
     「現代流通・国際ビジネス研究(1)」(9月~ 15回)
  • 同志社大学 商学部
     「協同組合論-ひと・絆・社会連帯を求めて」(8月~9月15回)
  • 神戸大学 経済学部
     「協同組合論」(11月~1月 14回)

IYC学習交流会の開催

協同組合全国組織役職員間で、学習・交流を深めることを目的に、IYC学習交流会を5回開催した。テーマは次の通りである。

  1. TPPと私たちのくらし
  2. 韓国の協同組合基本法に学ぶ
  3. エネルギー問題の今後を考える
  4. 福島の現状と今後の課題
  5. ポストIYCを展望するために
IYC学習交流会の講師一覧
日時・テーマ 講師
第1回:TPPと私たちのくらし
(2012年4月24日)
  • 毎日新聞 編集委員 行友 弥 氏
  • JA全中 農政部長 小林 寛史 氏
  • 日本生協連 政策企画部 板谷 伸彦 氏
  • 医療福祉生協連 専務理事 藤谷 惠三 氏
第2回:韓国の協同組合基本法に学ぶ
(2012年5月15日)
  • 韓国・漢陽大学教授、韓国大統領室「社会的企業育成タスクフォース」・「協同組合育成TF」委員 金鍾杰(キムチョンコル)氏
第3回:エネルギー問題の今後を考える
(2012年6月27日)
  • 一橋大学大学院商学研究科教授、経済産業省資源エネルギー庁・総合資源エネルギー調査会基本問題委員会委員 橘川 武郎 氏
  • 日本生協連 政策企画部部長 小熊 竹彦 氏
  • 生活クラブ連合会 生活クラブ埼玉理事長・生活クラブ連合会理事 清水 泉 氏
  • JA全中 JA全国大会準備室長 藤井 晶啓 氏
  • 農中総研 理事研究員 渡部 喜智 氏
第4回:福島の現状と今後の課題
(2012年9月13日)
  • 福島大学経済経営学類准教授 小山 良太氏
  • JAそうま 原発損害賠償・補償対策班長 山田 登 氏
  • 福島県生協連 専務理事 佐藤 一夫 氏
  • 日本労協連 東北統合本部本部長 田中 羊子 氏

東日本大震災からの復旧・復興

わが国の協同組合は、2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復旧・復興に向け、食料など緊急支援物資の提供・輸送、医師・看護師の派遣、被災地での炊き出し、災害支援ボランティアの派遣、募金・義援金活動、被災者に対する共済金の迅速な支払い、買い物支援、仕事の創出支援、金融を通じた支援、中小企業組合による復興店舗再開などに取り組んできた。

各協同組合が取り組みを進めるとともに、諸会議や学習会を通じて相互に取組状況を報告・共有し、連携すべき点を模索した。

県域では、別項「県域実行委員会等の取り組み」で紹介するように、協同組合間連携により、被災地で生産された農林水産物の販売・消費等を通じた支援が行われた。

国連による情報発信

国連に依頼し、わが国の国際協同組合年キックオフイベントに際し、潘事務総長名による、わが国の協同組合に対するメッセージをいただいた。

また、同様に潘事務総長名による世界の協同組合に対するビデオメッセージに日本語訳を付け、国内の各協同組合で使用可能とした。

いずれも2012国際協同組合年全国実行委員会HPに掲載している(解散後もHPを維持する予定)。

なお、国連、ICA、諸外国における国際協同組合年に対する取り組み経過・状況は、本活動報告・総括の参考資料として、別資料に整理している。

パン・ギムン国連事務総長からのメッセージ

日本において、国際協同組合年(IYC)全国実行委員会キックオフイベントが開催されることに際し、心よりお慶び申し上げます。

全世界にわたり人々が金融及び経済危機に直面し苦闘しているところであり、先進国や発展途上国のいずれにおいても、一般市民はますますの平等、尊厳そしてよりよい生活を築くための必要な機会を求めています。

このような当然の熱い思いに応えるため、我々は経済的な実行性と社会的責任を兼ね備えている協同組合の活動から、力を引き出すことができることでしょう。

協同組合は、雇用の創出や貧困の削減により組合員やコミュニティーの一助となります。また協同組合は、危機の際に最も打撃を被る、若者、女性、高齢者、障害者、先住民などのようなグループに手を差し伸べることもあります。

この度の国際協同組合年は、協同組合の社会的認知度を上げ、協同組合に関する情報を広め、政府に協同組合の成長を助長させる機会となるものです。

また、協同組合の価値の重要さを際立たせる好機ともなるもので、特に環境への配慮、包括性、人々の連帯が挙げられます。

国際協同組合年の記念の年は、偶然にも「すべての人のための持続可能エネルギーの国際年」とも重なり、6 月には「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」も予定されています。これらのイベントにも、相互にその目的を達することができるよう、ご協力やご支援をいただければ幸いです。

日本においては、何千万人もの協同組合の組合員が、それぞれの事業の分野において重要な貢献を果たしています。多くの方々は、2011 年3 月11 日に発生した3 重の大災害を受けて、その復興を支援してきています。

わたしは、協同組合が果たしてきているその価値が、現状抱える日本のいくつかの課題を克服し、将来更に大きな安定性と繁栄を創造するとともに、日本や世界へもプラスの効果を強める働きをするであろうことを確信しています。

このような気持ちを抱きつつ、このキックオフイベントが成功に終わることを祈念いたします。

(2012 国際協同組合年全国実行委員会事務局 翻訳)

政府による情報発信

政府に対し、国際協同組合年にあたっての政府広報を実施するよう求めたところ、後述の政府広報オンライン(政府広報のHP)での紹介に加え、政府広報ラジオ番組「中山秀征のジャパリズム」で国際協同組合年、協同組合が取り上げられた。

協同組合憲章草案に係る取り組み経過

憲章草案の決定と政府への働きかけ

2012国際協同組合年全国実行委員会は、政府に対し、「国際協同組合年を契機に協同組合を発展させるための、政府としての基本的な考え方と方針を明らかにすべし」と求め、具体的には、協同組合憲章の制定を求めた。

この背景には、2010年に中小企業憲章が閣議決定されたことがあった。中小企業憲章は、中小企業家同友会が、2003年からその制定運動を開始し、自ら草案をまとめ、この草案にそった憲章の制定を政府に求めたものである。

2012国際協同組合年全国実行委員会のもとに、協同組合憲章検討委員会(委員長:富沢賢治聖学院大学大学院教授)を置き、その取りまとめを踏まえ、2012年1月、協同組合憲章草案を決定(資料末尾に掲載)し、同月中に、協同組合全国組織の会長・理事長が、官房長官に直接面談してその制定を求めた。

政府の対応

協同組合憲章に制定について、官房長官および内閣官房からは次の通り回答・対応があった。

即ち、(1)協同組合憲章の制定は、協同組合を所管する各省庁の相応の熱意がなければ困難、(2)協同組合憲章草案第4章に掲げる政策提案は具体性に欠け、実現にあたっては、一層の具体化が必要、というものであった。

政府の対応を踏まえた取組みの進め方

協同組合憲章草案に基づき、政府が協同組合憲章を早期に閣議決定することが最も望ましいことであるが、以上の情勢下では、こうした一本道の運動は実を結ばない恐れもあったため、次のような取組みを進めた。

政府による協同組合全体を貫く政策の考え方と方針の明示

わが国では、各種協同組合法が個別に制定され、それぞれの協同組合の意義が各法に示されている。しかし、協同組合全体を貫く政策の考え方や方針が政府から示されたことはない。

わが国の各種協同組合は、独自の発展を遂げつつも、いずれも地域社会に根ざし、人びとによる助け合いを促進することによって、生活を安定化させ、地域社会を活性化させるという、共通の重要な役割を果たしつつある。

このため、わが国政府が、国際協同組合年にあたり、何らかの形で、こうした共通の意義・役割を認め、協同組合全体を貫く協同組合政策の基本的な考え方と方針を明らかにするよう求めることとした。

こうした方針に基づき、政府に対して働きかけを行ったところ、政府広報オンライン(政府広報のHP)に、政府の協同組合政策に関する基本的な考え方と方針が示された。これは、協同組合憲章草案第3章「政府の協同組合政策における基本原則」の5項目のうち、3項目を取り上げたものである。

個別の政策要求の具体化

協同組合憲章草案に掲げる政策提言のなかには、抽象度が高く、具体的な政策につながりがたいものもある。このため、可能な課題から順次提言の具体化を図り、具体化できたものから順次に関係省庁に要請するなど、政策の実現を図ることとした。

政府広報オンラインに掲載された協同組合政策に関する基本的考え方・方針

政府も協同組合の活動を後押ししていきます

(中略)

協同組合は、地域社会に根ざし、人びとによる助け合いを促進することによって生活を安定させ、地域社会を活性化する役割を果たしています。人と人が支え合い、支え合うことによって生きがいを感じられる社会を形成していくことは重要な視点であり、協同組合はその主要な担い手のひとつです。

政府は、本年の国際協同組合年が協同組合の認知度向上につながることを期待しています。国民生活に重要な役割を果たしている協同組合の地域に根差した助け合い活動がさらに広がっていくよう、次のような基本的考え方で、協同組合の発展をできる限り後押ししていきます。

(1)協同組合の価値と原則の尊重

国連の「協同組合の発展のための支援的な環境づくりをめざすガイドライン」(2001年)とILO(国際労働機関)の「協同組合の促進に関する勧告」(2002年)に留意するとともに、ICA(国際協同組合同盟)の「協同組合のアイデンティティに関する声明」(1995年)に盛り込まれた協同組合の価値と原則を尊重し、協同組合にさまざまな政策を適用する際は、協同組合の価値と原則に則った協同組合の特質に留意すること。

(2)協同組合による地域社会の持続的発展への貢献を重視

協同組合が地域社会の持続的発展に貢献することをめざしている点を重視するとともに、持続可能な地域づくりや震災復興などにあたっては、地域経済の有力な主体として協同組合を位置づけること。

(3)協同組合を事業や経営の有力な担い手として位置付け

今後は、多くの人びとが自発的に事業や経営に参加できる公正で自由な仕組みが求められることから、公的部門(セクター)と営利企業部門だけでなく、民間の非営利部門として協同組合の発展に留意すること。

(以上、政府広報オンラインから抜粋)

HPアドレス:http://www.gov-online.go.jp/topics/kyodokumiai/index.html

県域実行委員会等の取り組み

44県の県域で県域実行委員会等が組織されるなど、全県域において、多彩な取り組みが進められた。

県域の取り組みを分類すると、次の通りとなる。

  1. 国際協同組合年であることを契機に、改めて対外的に情報発信し、協同組合に対する理解を深める取り組み(一般向けイベント、書籍の発行、大学での講座の提供など)
  2. 協同組合役職員・組合員が協同組合の意義について学ぶ場の設定(連続勉強会、シンポジウムなどの開催)
  3. 異種の協同組合が連携したからこそ可能な新たな取り組み(被災地で生産された農林水産物の販売・消費を通じた一次産業支援など)

都道府県実行委員会における取り組み状況一覧(平成25年1月15日時点)(PDF)

成果と課題

2012国際協同組合年全国実行委員会の成果

(1) 協同組合間連携等の契機となり、連携によって新たな取り組みを可能に
 JJCや県域の協同組合連絡協議会、産直など事業上の連携等に代表されるように、これまでも協同組合間の連携は進められてきた。
 従来、JJCに参加していなかった協同組合全国組織や多くの賛同者の参加を得て2012国際協同組合年全国実行委員会が組成されるなど、国際協同組合年は、従来の枠組みを超えた協同組合間連携や協同組合外との連携を進めるための大きな契機となった。
 連携を通じて、県域での震災からの復興に向けた実践や各協同組合組織の取り組みにかかる情報共有、マスコミやイベントを通じた情報発信、大学での協同組合論講座の新設、政府による協同組合に関する基本的な考え方と方針の提示等の成果を生むことができた。
(2) 協同組合の役割・意義をめぐる学習・意見交換の進展
 国連が協同組合に価値を見出したことを踏まえ、異種の協同組合間で、協同組合とは何かにつき意見交換の機会が持たれるとともに、単位協同組合・県域・全国域で多数の学習会・シンポジウム等が開催された。
 また、地域貢献コンテストを通じ、各地域で協同組合が実践している多彩な地域貢献を相互に認識し、期待される役割・意義について、改めて考える機会となった。
 こうした取り組みを通じて、「わが国の現代社会における協同組合の役割・意義」に関する学習が進み、引いては、今後、協同組合はどのような社会を目指すのかについて意見交換する機会につなげることができた。
(3) 政府による協同組合に関する基本的な考え方と方針の明示
 政府に対し、国際協同組合年に際し、協同組合を発展させるための基本的な考え方と方針を明らかにするよう求めたところ、政府広報オンライン(政府広報のためのHP)上での公表と言う形ではあるものの、一定の考え方が示された。政府が、初めて協同組合全体を貫く基本的な考え方と方針を示す機会となった。
(4) 県域等への広がり、継続的な取り組み体制
 44県域で県域実行委員会が組成されるなど、2012国際協同組合年全国実行委員会の組成・活動を通じて、取り組みが全ての県域さらには多くの単位協同組合に広がった。また、協同組合全国組織は、後継組織を置くことを決めており、継続して取り組む体制の確立が想定されている。

今後の課題

(1) 掲げた目的は一年で達成できず
2012国際協同組合年全国実行委員会が掲げた目的「協同組合の価値や協同組合が現代社会で果たしている役割等について広く国民に認知されるよう取組みを行うとともに、協同組合運動を促進させる」は、もとより一年で達成できるものではなく、継続した取り組みが必須である。
同様に、東日本大震災からの復興に向けて、継続した取り組みが不可欠であり、協同組合間の連携によって何ができるか、真摯な模索・実践が求められる。
(2) 取り組みの前提となる学習は一層の浸透が不可欠
協同組合の役割・意義等にかかる数多くの学習の場が設けられたが、組合員を含む学習の広がりは不十分である。協同組合にとって学習は永続的な課題であり、継続して取り組む必要がある。
(3) 政府による協同組合政策の基本的考え方と方針のさらなる明確化、個別政策の実現
政府は、政府広報オンライン(政府広報のためのHP)を通じて、政府の協同組合政策に関する基本的な考え方と方針が示したものの、いまだ不十分である。協同労働型の協同組合のための法制度整備や学校教育における協同組合学習の充実など、実現していない課題も見られる。協同組合憲章を定める等、協同組合全体を貫く協同組合政策の基本的な考え方と方針をより一層明らかにさせるとともに、個別政策の実現が求められる。
(4) 協同組合が目指す「よりよい社会」の具体化とこれを踏まえた活動
協同組合の役割をより明確にするためには、協同組合が目指す「よりよい社会」の像を具体的に描く必要があると、2012国際協同組合年全国実行委員会で再三にわたり意見が出されたが、委員会全体としてこれを明確にすることはできなかった。
「よりよい社会」像の具体化は日々の実践とこれを踏まえた意見交換を通じて描くことができるものである。国際協同組合年は学習・意見交換の大きな契機となった。また、各地域の協同組合において、将来を拓く貴重な実践事例があることを再認識する機会となった。実践事例に学び、さらに議論を深めることを通じて、自らの役割・意義や目指すべき方向性を明確にし、実践・情報発信していくことこそが、認知度向上や協同組合の発展に向けた重要の課題である。

2012国際協同組合年全国実行委員会解散にあたって

2012国際協同組合年全国実行委員会は、大きな成果を挙げたものの、その掲げた目的の達成に向けては継続した取り組みが必要である。

2012国際協同組合年全国実行委員会は、その設立時に確認した規約に基づき、自らの議決により解散する。一方で、協同組合全国組織は、2012国際協同組合年全国実行委員会の掲げた目的の達成に向け、後継組織を立ち上げるとしている。

2012国際協同組合年全国実行委員会は、この後継組織が、2012国際協同組合年全国実行委員会が掲げた目的を引き継ぎ、先に述べた成果と課題を踏まえて活動することを期待する。

また、県域等においても同様の組織が組成され、活発に活動することを期待する。

さらには、各協同組合の組合員・役職員が、わが国の現代社会における協同組合の意義・役割を強く自覚して、この自覚に基づいて行動し、もって協同組合がいっそう発展することを期待する。

以上

 ・2012年国際協同組合年全国実行委員会 実行委員就任呼びかけ人(PDF)

 ・2012国際協同組合年全国実行委員会役員(PDF)

 ・2012国際協同組合年全国実行委員会 実行委員(PDF)

 ・2012国際協同組合年全国実行委員会 幹事団体(PDF)

 ・2012国際協同組合年全国実行委員会規約(PDF)

 ・平成24年度IYC全国実行委員会 監査報告書(PDF)

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